※この記事は2013年に綴った過去の旅日記を、現在の『足跡トラベル』のコンセプトに合わせて再構成したリライト記事です。
「自力手配でつくる旅日記」を掲げる私ですが、今回の旅は今から遡ること10年前。まだ子どもたちがおらず、夫婦二人きりのストイックな旅の記録。
前回ご紹介したロヴァニエミでの穏やかなオーロラに続き、真の目的地である北極圏の村・サーリセルカへ。 「空を覆い尽くすオーロラ」を追い求める、私たちが自然の厳しさと、そして奇跡に出会うまでの完結編です。
1. 「オーロラは甘くない」雪原の洗礼
ヘルシンキから飛行機で北へ数時間。たどり着いたサーリセルカは、予想をはるかに超える厳しさで私たちを迎えました。 体感温度はマイナス20度を下回る。肌を刺すような極寒。そして、何よりも厚く垂れ込める雲が、夜空を完全に覆い尽くしていました。
「自力で見つけてこそ旅の醍醐味!」と意気込み、宿から一番近い丘の上まで毎日足を運びました。 凍える手でカメラを構え、じっと待つこと数時間。見えるのは、漆黒の空に時折現れる、重たい雲の切れ間だけ。 北緯が上がればオーロラ遭遇率は上がるはず…そんな淡い期待は、あっけなく自然の大きな力の前に砕け散ります。
「ダメか……」 白い息が凍りつき、感覚が麻痺するような寒さの中、肩を落として宿に戻る夜。 サーリセルカのオーロラは、私たちに「甘くない現実」を突きつけてきました。
2. 執念のツアー参加と、運命のカウントダウン
ロヴァニエミよりも北にるサーリセルカ、オーロラのために訪れた町。そして滞在期間は限られる。 自力での観測に限界を感じた私たちは、ついにプロの力を借りる決断をします。 現地のオーロラ観測ツアーに参加することに。 「背に腹は代えられない」 プロのガイドがその日の気象条件を分析し、雲の切れ間を狙って最も可能性の高い場所へ連れて行ってくれる。これが最後のチャンスだと。
バスに揺られ、街の明かりが全く届かない漆黒の荒野へ。 「今夜はガスが出ているから難しいかもしれない」 ガイドの弱気な言葉に、車内には諦めに似た重い空気が漂っていました。 誰もが諦めかけた、その時。
「……出たぞ!」
ガイドの鋭い声に弾かれるように外へ出ると、そこには今まで見たことのない光景が広がっていました。
最初はぼんやりとした白い筋。それがみるみるうちに輝きを増し、空全体を覆い尽くす巨大な光のカーテンへと変貌。 ロヴァニエミで出会った「静」のオーロラとは全く違う。 光が激しく波打ち、空が生きているかのように蠢く。まさしく「オーロラの爆発(サブストーム)」でした。
3. 空が「爆発」する、圧倒的な非日常の渦
あまりの迫力に、シャッターを切るのも忘れて立ち尽くしてしまいました。 極寒で凍りついていた身体が、一気に熱を帯びるような感動。 大人二人、ただただ言葉もなく、首が痛くなるまで夜空を見上げ続けました。
「この瞬間のために、日本から遠く離れたこの極北の地まで来たんだ」
そう確信した、圧倒的な非日常の夜でした。
4. 旅を終えて:オーロラが教えてくれたこと
帰りのバスはおなかいっぱい。 オーロラが見れるとこんなにテンションが変わるかというくらい 昨日とは別のテンションで宿にもどり、PANIMOに出かけて祝杯をあげました
オーロラは、確かに甘くありません。徹底的に計画し、自力で手配を進めるのが私の旅の流儀。 しかし、自然を相手にする旅では、時に効率や計画性だけではどうにもならない壁にぶつかることも。 そんな時、プロの力を借りる柔軟性、そして何よりも「運」と「執念」が必要なのだと、この旅が教えてくれました。
あの時カメラに収めた緑の光は、今でも私たちの記憶の中で、当時の冷たい空気と共に鮮やかに輝き続けています。 子どもたちも大きくなったら、いつかこの感動を一緒に分かち合いたい。そんな夢を抱く、夫婦二人の旅でした。
旅の足跡:極寒のオーロラ観測を支えた、頼れる装備たち
マイナス20度を下回る環境での観測は、まさに装備との戦い。 自力でオーロラを追いかけるなら、これだけは必須でした。
旅の足跡:今回の関連アイテム 今回の極寒観測を支えてくれた、あるいは持っていくべきだった「命を守る」装備たちです。
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フィンランド・オーロラ追跡旅 完結







